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北近畿・山陰の旅13 大江山鬼モニュメントを観る

 帰り道、天橋立の近くに有る大江山へ寄って行く事にする。

 ここには一昨年、当ブログでも紹介した成田亨作の鬼モニュメントが有る。

 成田亨についてはその時に詳しく解説したので省略するが、このモニュメントは彼の晩年の大作で、ブルデル直系の血筋を感じさせる躍動感と重量感が見事な作品である。また、三体の鬼の動きと台座のフォルムが全て呼応し合って生み出される美しさは、抽象彫刻で頭角を現した成田の形に対する感性の鋭さを感じさせる物だ・・・が、幾らなんでも台座が高過ぎでしょ(T_T)!?

 聞いた所によると、この手のモニュメントを作る場合、決められた高さが無いと国からの補助金が貰えない為、当初の計画より台座を高くしたんだとか。ダムや道路と同じいい加減な仕組みが芸術までも歪めているとは情けない。

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 大江山からの帰り道、林の中に・・・鬼が!!(トトロじゃねーってば(怒)!!)

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 こう見えるのはこの位置からだけで、近付くとバラバラになってしまう。誰かが狙って作った物では無さそうだ。

 もしかしたら大江山の鬼の怨念の表れなのかも知れない・・・・・(見た目可愛い過ぎだけどな(T▽T;))


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北近畿・山陰の旅9 足立美術館へ行く

 中海から少々山間に入った所に有る足立美術館へ行く。

 ここは地元の実業家の足立全康と言う人が建てた私設美術館で、横山大観を中心とする日本画のコレクションで知られるが、それ以上にここを有名にしているのはアメリカの日本庭園専門誌で5年連続日本一に選ばれたと言う日本庭園である。

 アメリカの日本庭園専門誌にどれ程の権威が有るのか・・・ってか、そもそもそんな物が有って、あまつさえ日本国内の庭園をランク付けしている事に驚くが、考えて見ればアメリカは言わずと知れた変態の国。本来日本以上にオタク性の高い国民性を持っている。何が有っても驚くには値しないだろう。まぁ、お手並み拝見と行こうか(←?)。

 回りに殆ど何も無い山間に足立美術館は有る。もの凄く広い駐車場に平日だと言うのに結構な数の車が泊まっている。観光バスも多い。僻地(←失礼)に有る私設美術館としては随分な人気だ。

 評判の枯山水庭園を観る。うーむ…広い。どこからが借景の山なのか分からなくなりそうである。そして派手だ。なるほどアメリカ人に好まれる訳である・・・なんて言うと偏見だが、いわゆる侘び寂び感は余り無く、豪華で若干大味な印象だ。作りや手入れが大雑把な訳でも無いのに大味に感じるのはやはりその広さ故か。ヨーロッパの庭園の様に人工的・幾何学的に構成された庭は、自然に対抗して存在感を示す物なので大きい事は魅力なのだが、自然を象徴的に模す枯山水庭園は、広大な自然を抽象化して狭い空間に凝縮した宇宙観みたいな物が魅力なので、ここの様に実際の自然を思わせるスケールで作ってしまうと、象徴性や凝縮感が失われて散漫な印象を与えるのではないかと感じる。ちなみに背景の崖に滝が落ちていて、何か不自然だなと思ったらやはり人工の滝だった。ここの枯山水の中心には滝を模した縦長の大岩が据えられており、全体で山河を表現しているのだが、その背後に本物の滝を作るって発想はどうなんだろうか?

 単に景色としては美しいかどうかは別にして、色々な意味で違和感が拭えないのだった。

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 入り口近くに有る苔庭。落ち着いた色合いと造形で、これは結構好きだ。

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室内を通して庭を見せる『生の額絵』と称する仕掛け。「庭も一幅の絵画」と言う設立者の思いの表現だ。

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 館内に入って展示を観る。評判通り横山大観のコレクションが充実しているが…個人的には余り好みじゃなかったりする(T_T)。

 風景画の美とは対象となる風景自体が持つフォルムの美と、作者の内面から生み出されるフォルムの美を融合させつつ再構成した物だと思うが、横山画伯の描くフォルムは余りにも漫然と記号化された感じで、元の風景が持って居たで有ろう情感は全く感じられないし、自身の内面のフォルムを突き詰めた深みも感じられない。むしろ安易な思い付きで描かれた企画物の様に見える絵が多かった。

 とは言え世間的に評価が高い作品「雨霽る(あめはる)」とか「紅葉(こうよう)」とかはそれなりに味が有って良いとは思う。まぁ、良い作品も悪い作品も有るのが作家だが、単純に良し悪しと言う以前に絵に対する姿勢みたいな物に疑問を感じる作品が有る事が好きになれないのであった。

 次に企画展『競演-文展の画家たち-』を観る。

 文展とは後に帝展となり現在は日展となっている、日本のアカデミックな公募展の頂点である。ここのコレクションは日本画のみの様で、川合玉堂や伊藤深水、鏑木清方等が並ぶ。

 ここで印象に残ったのが西村五雲の「凍夜(とうや)」と言う作品である。雪原で月に向かって立つ一匹の犬を描いた淡彩の水墨画(だったと思う)だが、明治35年制作にしては極めて近代的で洗練された力強いデッサンで、背後から見た犬の睾丸や肛門まで写実的に描写する躊躇無いリアリズムと、その一方で陰影に沈む顔のディテール等は大胆に省略し、全体としてフォトリアリスティックな中に象徴的な情感を生み出す画風はアメリカの巨匠アンドリュー・ワイエスを思わせる物だ。しかしこの絵が描かれたのはワイエスが生まれる15年も前である。これは凄いと思う。だから足立美術館さん、この絵を図録に載せるか絵葉書を作るかして下さい。よろしくお願いしますm(_ _)m。

 その他は橋本関雪の「夏夕」とか山本春挙の「瑞祥」なんかが個人的には良かった。

 それにしても入館料2,200円は高過ぎである。メセナじゃ無いのかよ・・・(vv;)

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北近畿・山陰の旅8. 大山~皆生温泉へ行く

 三佛寺を出て西へ走り続けると、大山のドライブコースに入る。鮮やかな緑の林間コースは平日と言う事も有ってか車も少なく気持ち良く走れる。出来れば紅葉の季節に来たいが、その頃は混むんだろうなーやっぱり…(vv;)。

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 ただ天気は悪く時折小雨もぱらつく有様で、大山自体は雲間から僅かに輪郭をを望める程度だった。小泉八雲も心酔していたと言う大山を楽しみにしていたのに残念だ、三佛寺に居た頃は快晴だったのに、やはり山の天気は分からない物である。

 夜に再び海岸沿いへ出る。米子と境港の間にある皆生(かいけ)温泉で一泊する。

 山陰の海岸線を走っていると、とにかく海水浴場が多いのに驚かされる。地形的に砂浜が多い様で、その象徴が鳥取砂丘と言う印象だ。

 皆生温泉も温泉街の裏手は砂浜になっており、米子や松江に近い事も有るのか、巨大旅館が林立するリゾート温泉地の様相を呈している。昨晩の三朝温泉とは完全に対照的である。

 絶壁の様にそびえる近代的高層旅館群の間を縫って予約した旅館に着く。和風の名前から期待していたのとは裏腹にここも巨大なコンクリートの箱で、少々失望する。

 とりあえず駐車場に車を停めてフロントへ行こうとすると…入口が分からん(-o-;)。ざっと見回しても壁ばかりでガラス面が無いのである。

 建物の側面に回り込むと、壁面の一角が木の壁になっている所を見付けた。近付くとどうやら自動ドアの様だ。「様だ」と言うのはそれが平坦で何の装飾も無い単なる木の壁で、それ自体にも周囲にも窓や看板に類する物が見当たらないからである。こんな分かり難い入口の旅館が有るだろうか?

 半信半疑のままその木の壁の前に立つと、案の定壁がスライドして開いた。巨大な木の壁が突如動き出す様は、何だかファンタジー映画で秘密の扉が開く瞬間みたいで、ちょっとわくわくする(笑)。窓が無い為、開くドアの隙間から漏れ出る光条の眩しさは正に闇を射るがごとくで、これがまたファンタジックである(笑×2)。

 一瞬目を眩ます光の中からきらびやかなロビーの光景が忽然と浮かび上がった。入り口の地味さとは裏腹にロビーは豪華で広い。畳百畳近くは有るだろうか?正確には分からんがとにかく広い。…否、「分からん」と言うのは正しくない。正しくは「数えなければ分からん」である。そう、ここのロビーは何と全面畳敷きだったのである。外観とは裏腹にムチャクチャ和風狙ってるじゃん!!

 …ってか和風でもロビーは畳敷かないよな普通…

 チェックインを済ませて仲居さんの案内で部屋へ行く。驚いた事にロビーだけでは無く廊下やエレベーターの中まで畳敷きである。その代わり館内にはスリッパが無く素足で歩く様になっている。考えてみれば特に湯上がりなんかにスリッパを履くのは余り気持ちの良い物では無い。温泉旅館らしい粋な造りと言えよう。そう考えると入り口の扉も敢えてギリギリまで中を見せずに客を驚かせようと言う遊び心の様に思えて来る。気取った豪華さとはちょっと違う洒落た贅沢を感じさせる面白い宿だ。

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 とか感心している内に部屋へ着いた。中へ入ると・・・洋室だった(-o-;)!!

「ここまで畳敷きで来といて何故!?」

と、仲居さんに問うと、澄ました顔で

「これがビジネスのお客さんなんかには結構好評なんですよ。」

と、言われた。なる程。米子なんかに近いと言う事はビジネス客を当て込んだシングルルームが有ってもおかしく無い訳だ。このシングルの広さは水回りを除けば四畳半程度である。これで和室じゃ侘びしい安アパートみたいになってしまう。洋室にするしか無いか…(-_-;)。

 でもこれはこれで、風呂帰りに畳敷きの廊下を歩いて来て部屋に入ると、別な意味で侘びしく感じるのだった(T_T)。ユニットバス要らないからせめて団地サイズ八畳位の和室に出来ない物だろうか…

 一人だと案外洋室の方が過ごし易い面も有るのだが・・・でも粋じゃ無いでしょそれじゃ?(→旅館の人)

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北近畿・山陰の旅6. 三朝温泉に行く

 それまで辿って来た海岸線を少し離れ、山間部に有る三朝(みささ)温泉で一泊する。

 三朝温泉は世界有数のラドン含有量を誇るそうで、街にはラジウム発見者であるキュリー夫人の銅像が建っている。うーん・・・強引だ(笑)。

 ここの名物は河原風呂と言う、その名の通り河原から湯が湧き出している所に湯船を作った露天風呂である。周りをよしずで囲っただけの素朴なたたずまいからは秘湯の雰囲気も漂うが、直ぐ横に幹線道路である大きな橋が架かっており、そこを通る人から丸見えなので全然秘では無い。つーか、ここまで公道に近いと幾ら温泉と言えども公然わいせつ罪になりそうな気がするが・・・

 温泉街はその河を挟んで両側に有り、一方は大きな鉄筋コンクリートの旅館群で、もう一方が小さな湯宿や商店が並ぶひなびた温泉街になっている。私が泊まったのはひなびた温泉街の方で、静かな街並みが結構落ち着く感じで良いのだが、通りの目立つ所に巨大でやたらケバいストリップ小屋の看板がそびえているのがそれらを台無しにしている。今時こんなのも珍しいと思うが・・・基本的に裸に大らかな土地柄の様だ(←?)。

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 泊まった宿は地下室に浴室が有る変わった造りだった。ここは地下の浅い所から温泉が湧き出しており、地下室の湯船の底が正にその湧き出し口に当たるそうで、自然に湧き出す湯がそのまま溜まるようになっているのである。100年以上前に作られた物がほぼそのままの形で残っているのだそうで、実にユニークである。こう言う物に出会えるのが旅の楽しさである(…と、城崎温泉を思い出しながら考える…)。

 この日は素泊まりだったので外へ食べに出た。宿の人に薦められた店へ行く。

 そこは和食も洋食も中華も出す店なので、宿の人的には取り合えず誰にでも無難に薦められる店との事だった。美味いから薦めてるんじゃ無いのね(vv;)。まぁ、ファミレスでも無いのに和洋中何でも出すって時点で味に拘りが有るとは思えない訳だが、とは言え小さな街で余り選択肢も無い。定休日の店とかも有って、結局そこへ行く事になった。

 所がこの店が結構美味かった。和食のコースを頼んだのだが、様々な食材を工夫を凝らして丁寧に料理しており、美味いだけでは無く驚きや楽しさも有る本格的な物だ。とてもラーメンやオムライスも出す店の料理とは思えない。

 と、思いながら壁を見ると、この店を紹介した新聞の切り抜きが貼ってあった。それによるとここは地元以外にもファンを持つちょっと有名な店らしい。元々先代の店主が始めた料亭で、現在店を継いでいる二代目がアメリカで料理の修行した経験を生かしてメニューを増やしたとある。アメリカで料理の修業とは珍しい。

 無論アメリカの大都市には世界の一流店が出店しているが、それはアメリカの食文化では無い。修行するなら本家のヨーロッパとかへ行きたいと思うのが普通の様な気がするが・・・

と、店主に聞いてしまった(^^;)。

 すると店主は照れ臭そうに、アメリカへ行ったのは大学に留学する為で、多少向こうのレストランで働いた事は有るが、本格的な修行をしたのは日本でだと言った。新聞はネタとして面白いのでアメリカの話をクローズアップしたのでしょうとの事。なるほど納得だが…確かにちょっとつまらん(^^;)。

 と、言いつつ店のお薦めはカリフォルニア・ロールだったりする。売りにしてるじゃん・・・(T▽T;)

 ちなみにメニューに節操が無いように見えるのは、他にそれらを出す店が無いので地元の人達からリクエストされ、それに応えた結果なのだとか。本来の和食はきっちり押さえながらも色んな料理に挑戦する姿勢は日本とアメリカで修行した店主らしいフロンティア・スピリットの表れかも知れない。

 帰りに地酒を買う。三朝には日本酒の古酒にこだわる酒蔵が有る。古酒にしては珍しい辛口で、古酒らしい香ばしさは豊かでありながら後味がすっきりしているのが珍しい(←お察しの通りかなり試飲してます(^^;))。古酒は好きなのだが一般的に甘過ぎて、日本酒なのに日本料理との相性がイマイチと感じる事も有ったのだが、これは良さそうだ。ちなみに京都の伏見にはこれをソフトクリームにかけて出してる酒蔵が有った。これは中々絶妙で感心した。

 明日はちょっと冒険しようと思っている。

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北近畿・山陰の旅5. 鳥取砂丘へ行く

 日本最大の大砂丘・鳥取砂丘へ来た。実際に見るとなんだかんだ言ってやはりでかい。起伏も激しくて、当初海岸まで行くつもりだったのだが、海岸へ下る斜面が余りに急で、下りるのは元より登るのが嫌になってやめてしまった。

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 だが急斜面にむしろ挑戦したくなる人もいる。

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 前日まで雨の日が続いていたせいか、砂丘の中を川が流れている。

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 そこに産卵するとんぼの姿が。いつまでこの水が有るのか心配だ。

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 ちなみに砂丘に行くならやはり朝である。気温の関係で陸から海に向かって強風が吹く朝だけに見られる風紋こそ砂丘の醍醐味である。

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 強風の為に自分の足跡が見る見る内に消えて行く。

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 海岸へ下る絶壁の縁は風が渦巻いて特に激しく吹き荒れている。

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↓風の激しさを動画でチェック!(再生にはWindows Media Playerとかが必要です)
「sakyu_19.AVI」をダウンロード

 しかし駱駝は余計である。でかいと言っても砂漠とは明らかに違うのだから逆に興ざめしてしまう・・・(vv;)

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北近畿・山陰の旅4. 余部橋梁を見る

 城崎温泉から海沿いの国道を西へ向かうと巨大な鉄橋が見えて来る。トレッスル式と言うやぐら状に鋼材を組み上げた形式の鉄橋としては日本最大と言う余部橋梁である。私は鉄では無いが、迫力に押されて車を止めて見物してしまった。

 こんな所を列車が走るのは怖いと直感的に思う高さと細さ。過去には脱線・転覆事故で列車が落下し、直下に有った工場の従業員を含めた多数の死者が出たそうで、鉄橋の傍には慰霊碑が建っている。この直下に建物が有る事自体よそ者には驚きである。この事故に付いては運行規定を無視して強風時に列車を運行させた人為的ミスとされるが、一つのミスで大惨事に繋がる設備やシステムは、それ自体に問題が無いか考える必要は有ると思う。建替え計画が進んでいると聞くが当然だろうと思った。

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 景色としては魅力的だが、それは危うさが醸し出す危険な魅力を含んでいると思われて素直に楽しめないのだった。

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北近畿・山陰の旅3. 城崎温泉に行く

 骨休めの旅と言えばやはり温泉である。

 人里離れた隠れ家的な宿で、涌き湯の音が岩に染み入るのを聞きながらゆったり体の疲れをほぐす…と言うのは何と言っても最高だが、一方で少し賑やかな温泉街と言うのも独特の非日常を醸し出していて楽しい物である。

 と言う訳で、北近畿と山陰の境に有り、風情有る温泉街として知られる城崎温泉へ立ち寄る事にした。

 城崎温泉は古い石作りの水路の両岸に沿って湯宿が連なる古びた雰囲気の温泉街である。柳並木に挟まれた水路にはやはり石作りの橋が並び、浴衣姿の観光客が軽やかな下駄の音を響かせながら街中に点在する個性的な7つの外湯巡りを楽しむと言う、中々情緒が有りそうな所である。

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 しかし夕方から一泊の泊まり客にとって、7カ所の外湯巡りは実はかなりハードである。外湯は温泉街の端から端まで点在しているので、全部回ると数キロ歩く事になり、ちょっとしたオリエンテーリングである。宿の仲居さんは最初からこっちが7カ所巡る前提で宿に着く早々テキパキとスケジューリングをしてくれたのだが、一カ所10~15分の滞在時間が前提になっている。これはのんびりする為の温泉と言う世間の常識に対する挑戦だと言っても過言ではない。

 仲居さんには悪いが、数には拘らず自分のペースで回る事にする。

 実際に街へ出ると、景色は評判通りの風情有る物だが思いの他車の往来が多いのには参った。古い街並み故の狭い小路で、歩道と車道の区別が無い所を車が殆どひっきりなしに通るので落ち着いて歩けないのである。一部の大通りには歩道が有るのだが、これも狭い。浴衣での散策を売りにするなら人と車が干渉し合わない工夫をして欲しい。

 また、7つの外湯がいずれも最近出来たかリニューアルされたかで、非常に綺麗な反面、内外装が余りにモダンだったり無国籍だったり・・・要は東京近郊に乱立している日帰り温泉施設と変わらないのにはがっかりした。新しくするにしても何か街の風情や伝統と呼応したデザインを考えて欲しい。古代ギリシャ風のエンタシスが並ぶ風呂なんて、ここに来る客が求めているとは思えないのだが(vv;)。

 更に言うとここの外湯は全てジェットバスを備えているが、7つも有る外湯全部が備える必要が有るのだろうか?ここで一番小さな外湯は大人4人しか入れないこじんまりした湯船しか備えていないのに、そこにまで2人分のジェットバスが噴出している。湯巡りしてる客もいい加減飽きたのか、皆ジェットバスを避けて湯船の端っこに固まっていたのが切ない光景だった。

 また、温泉にも塩素消毒が義務付けられて以来、ジェットバスの周囲は揮発した塩素の臭いが特にきついのも個人的には好まない理由である。

 好みの湯が有ったらそこに落ち着こうと思いながら巡っていたのだが、結局どこもイマイチで全部回ってしまった(vv;)。宿に戻ると仲居さんが、

「良かったら内湯にも入って下さいよ。うちはここの温泉街では少ない源泉掛け流しですから。」

と言った。外湯が名物の城崎温泉では内湯に力を入れてる宿は少ないと言う事らしい。

 結局この内湯が一番ひなびた風情が有り、のんびり浸かれて良かったのだった・・・

(しかしこの仲居さん、私が宿に着いた時に内湯の事を尋ねたら、「え!?内湯入るんですか?」みたいな事を言ってたのだが・・・皆さんも城崎温泉に行く事が有ったら仲居さんの反応は気にせず内湯もチェックする事をお勧めします。)

 余談だが外湯巡りをしている時に手拭いを腰に巻いて浴室に入って来た男性がいた。テレビの旅番組などでは良く見る光景だが、実際に風呂で使う手拭いは腰に巻ける程長くは無い物である。しかもその男性は相当な肥満体で、それこそどう考えても手拭いを腰に巻けるとは思えない。

 不思議に思っているとその男性が後ろを向いた。すると尻が丸出しである。良く見ると何とその男性は弛んだ下腹の肉ひだの間に手拭いを挟み、エプロンの様にぶら下げていたのである(T▽T;)!!

 何だか凄い物を見た様な気がした・・・

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北近畿・山陰の旅2. 天橋立へ行く2

 翌日は展望台から天橋立を眺めるつもりだったのだが、宿が天橋立入り口の目と鼻の先だった事から、まずは地元の人よろしく天橋立を散歩してみようと思い立つ。

 実際に歩くとこれが普通に気持ち良かった。両側波打ち際の松林である天橋立はマイナスイオンとα波ミュージックが溢れている感じで、癒し効果満点である。日本三景の特別な趣が皆無な事はともかく、骨休めの旅には良い物だった。

 で、それでまったりした気分になったら、有ろう事か展望台の事をころっと忘れて出発してしまった(歳だ…(T_T))。

 直後に気付いて引き返すべきか一瞬悩んだその時、道路脇に

『日本一のパノラマ展望所』

なる看板が現れたので、反射的にそちらへステアリングを切った。

 細い林道を暫く登って着いた所は山上に立つ『成合寺』と言う古刹だった。一瞬展望台とは別の所へ来てしまったかと思ったが、寺の中にもでっかく『日本一のパノラマ展望所』の立て札が立っているので間違い無いようだ。

 まずは境内を散策してみる。結構古い寺で趣が有る。本堂には左甚五郎作と言う木彫りの龍も飾られていて興味深く見る。

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 ところが御守り売り場に『必勝祈願守り』なる物が売られていて、横に貼られた説明書き(これまたでかい(^ ^;))を見ると、

「受験、麻雀、競輪、競馬、ギャンブル等あらゆる勝負事に効果が有る御守りです」

などと書かれている。・・・それって仏教的にはどうなのよ(- -;)?

 この御守りは剣に龍が絡みついたデザインで、不動明王が持つ『倶利伽藍剣(くりからけん)』をモデルにしたものと思われる。この剣は「人間の煩悩を打ち滅ぼして修行成就を助ける剣」だとか「迷い(煩悩)を取り除いて人を守護する剣」等と解説される。これが必勝の御守りと言うのは、勝負に勝つ為には欲を捨てよと言うもっともらしい理由なのだろうか?しかし欲を捨てて競馬に勝ってどうしろと言うのか分からん。もしかして欲にまみれたギャンブラー達に本当の目的を偽って売り付けて、本人の知らぬ間に煩悩を取り除いてしまおうと言う大乗的救済計画か?(人類補完計画なみに余計なお世話である。)

 ・・・な訳ねーか。左甚五郎作の龍にも、その龍自体と同じ位でかい『左甚五郎作~』と言う顕示欲丸出しの看板を掲げてる寺だし、基本的になまぐさっぽい。

 正直言って『日本一の展望所』と言う看板を見た時から違和感を感じていたのだが、それが証明された感じである。

 まぁ、それはともかくその日本一のパノラマ展望所へ登ってみた。

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 本来の展望ポイントとは違うが一応天橋立を見られたので先へ進む事とする。

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北近畿・山陰の旅1. 天橋立に行く

 遅い夏休みが取れた。昨年度の夏休みは今年の1月だったので(夏休みと言う言葉が適切かどうかはもはやどうでも良い問題である(-_-;))、今年二度目の夏休みとなる。なんか得した気がするが…無論錯覚である(T_T)。

 と言う訳で骨休めの旅に出た。これまで行った事が無い山陰方面を車で周ってみる。初日は舞鶴経由で日本三景の一つ『天橋立』に立ち寄る。

 日本三景の中でも特に雄大と言われる天橋立だが、実際に目にすると…只の松林である(T_T)。

 弓なりになった湾の海岸線をショートカットするバイパス道の様に真っ直ぐ伸びる全長3.3キロメートルの松林に覆われた細長い砂州が天橋立である。その雄大さ故に近くから見るとその独特の景観は分からず単なる対岸の松林にしか見えないのである。

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 そもそも天橋立は近くの山にある展望台から眺めるのが古来からの作法だそうで、『天橋立』とは砂州だけでは無くこの展望台も含めた総称だとか。とは言え、まさか近くで見てこれ程凡庸な物だとは思わなかった(-_-;)。

 時は既に日暮れで展望台に登るには遅いと思われた。近くから見てつまらないならいっそ中へ入ってしまえと言う訳で、天橋立に上陸する事にする。

 足を踏み入れた天橋立は…やはり只の松林である(T_T)。松林の中央を遊歩道が走っていて、地元の人がジョギングをしている。岸辺では釣りをしている人も…って、どこにでも有る普通の公園の風景じゃん!!良く見ると小学生のマラソン大会がこの遊歩道で行われる旨を告知するポスターが貼られている。地元の人にとっては本当に只の公園の様だ。それが悪い訳では無いが…日本三景と謳われるだけの趣が全く無いのは、わざわざ見に来た者には切ない(〒_〒)。

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 今回唯一の救いは美しい夕日が見られた事。この日はずっと小雨がぱらつく曇天で観光には不向きな日だったが、美しい夕日が見られるのはむしろそんな日である。それまで厚く垂れ込めていた雲が夕暮れ時に突然晴れ始める、そんな偶然に恵まれた時だけに見る事が出来る美しい夕日を天橋立から眺められたのは良い思い出になった。

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 良く見ると雲の下の方が天橋立みたいな形になっているのが素敵な偶然(*^_^*)。

 明日は展望台へ行ってみよう。

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冬の京都3 ハナタレを呑む

 1日目その3。

 宿に着いたが夕飯まで時間が有ったので京都駅ビルを観に行った。様々な要素が統一感無く組み合わされた外観デザインは余り美しいとは思えなかったが、その分ビル自体の自己主張が強く無く、巨大さから来る威圧感を減少させているのは周りの景観に対する配慮かとも思わせる。

 雑然とした印象を与える外観とは対照的に、内部の空間は調和が取れて美しい。壮観なのは中央ホールの左右の端がそのまま上り斜面へと変化し、10階の屋上までアトリウム内を一直線に伸びて行く大胆な構造だ。線路側と道路側に作られたビルにサンドイッチにされる様に斜面状のビルが作られているのである。西側斜面の幅いっぱいには階段が作られており、屋上まで上れる様になっている。途中の踊り場には休憩スペースやカフェが作られ、山の斜面の様な景観を形作っている。階段の横を通るエスカレーターはケーブルカーかリフトの様だ。ほぼ一直線に伸びる斜面だが、上の方で微妙にカーブし、景観に変化を与えると共に屋上を見え難くしている所は細かい演出だ。その演出に誘われてエスカレーターで屋上に上ってみると、市内を一望出来る展望広場になっていた。既に日は落ちており、ライトアップされた寺や塔が昼間以上にはっきりとその存在を浮き上がらせているのが印象的だ。(写真は屋上から中央ホールを見下ろした物だがちょっと分かり難いかな(^_^;)。クリックで拡大ウィンドウが開きます。)

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 一つ下のフロアへ降りてみる。飲食店街の片隅に秘密の通路みたいな物を見付けて入って見ると、空中回廊と呼ばれる遊歩道へ出た。アトリウムのガラス張りの天井を支える鉄骨の構造材に紛れる様に高所を行き来する遊歩道で、分かれ道も有ってビルのあちこちと繋がっている。途中には展望スペースが有り、ここからも京都の夜景が楽しめる。街の喧騒が余り聞こえて来ず静かに景色を楽しめる場所で、こんな所が駅ビルの中に目立たぬ様に作られていると言うのは中々粋だ。そのまま空中回廊を横断してアトリウムの反対側斜面の最上階へ出ると、そこはまた違った雰囲気の広場になっていた。迷路の様なビルである。観光客よりむしろ地元の人達が長く楽しめる様に考えられたビルなのだろう。

 宿に戻って食事にする。京都は飲食店も沢山有るので宿に食事を頼まず外へ食べに行っても良かったのだが、京の冬は寒いと聞いていたので夜は部屋でぬくぬくとする事を選んでしまった。料理は湯葉と豆腐を中心にした物で中々良い。昼間動き回った分、飯を何杯もおかわりしてしまう。飯が幾らでも食える所は宿の食事の嬉しい所である。

 で、腹ごしらえが済んだ所で呑みに行く事にする(爆)。

 歩いていて見付けた店の一つに入ってみる。「京の地酒と京のおばんざい」と言う観光客心をストレートに狙った看板にあっさり捕まってしまった(笑)。

 ふろふき大根とか茄子の田楽とか素朴な料理に京都の地酒が合って満腹だったはずなのに進む進む。旅に出ると別腹が活発に活動しだすようだ。その内京都の地酒以外の酒にも目が行く。「はなたれ」と言う飲み物とは思えない名前の酒が目に止まる。店員さんに聞くと、焼酎の蒸留器から最初に垂れて来る「出端(ではな)」の雫と言う意味だそうで、希少品らしい。早速頼んでみる(←当然!)。今回頼んだのは黒糖焼酎のはなたれである。

 アルコール度数が45度前後と高いはなたれは氷点下でも凍らずとろりとした状態になり、それを飲むのが美味いとされるそうである。冷凍庫から出されたはなたれは確かにシロップの様にとろりとしている。口元に近付けると接着剤か何かの様な匂いがする。焼酎と言うよりスピリッツ類の様だ。味も濃厚でかなりの珍味である。微かに黒糖の甘みが感じられ、癖の強い味をまろやかに感じさせる。面白い物を呑んだ。

 初日から胃が飛ばし過ぎてる事に気付き、その辺で切り上げて宿へ戻ったのだった。


<つづく!>

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