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長期生存者

 病院から突然厚みの有るA4サイズの封書が送られて来た。そんな物が来たのは初めてなので、もしや前回の診察で問題が見つかったのかと少々ビビりながら開封すると、

『長期生存者の方へのQOL(生活の質)に関するアンケート』

なるアンケート用紙の束が出て来た。

「…そうか、俺は長期生存者だったんだよな…」

と、改めて自覚した瞬間、自分が今生きている事、今後も生き続ける事が決して当り前の事では無いのだと言うシビアな現実を実感すると共に、“長期生存者”と言う言葉の裏からは長期では無かった多くの生存者の方々が居たと言う意味が暗に伝わって来て神妙な気持ちになった。

 「大変な病気をして人生観が変わりましたか?」

とは良くされる質問だ。しかし私の場合正直言って殆ど変わって無いと言って良い(T▽T)。私の場合は慢性期の内に移植を受ける事が出来た為に死の縁を経験した訳では無く、自分がもうすぐ死ぬかも知れないと言う事は医師に言われて頭で理解しただけで実感を伴わなかった。考えようによってはアポロの月着陸と同じ位眉唾である(^_^;)。結果、皮肉な事にこの病気の恐ろしさを実感するのは他の患者さんが亡くなっていると言う事実を知る時のみである。

 なので聖人の有り難い御言葉を期待するかの様に質問をされると、一抹の後めたさと鬱陶しさが入交じった複雑な気持ちになる。

 そんな時に思うのが

「死にかけた経験が有る人間は命の尊さが分るのか?」

と言う疑問である。自分の死を恐れる事が命の尊さを知る事なのかと言う事である。

 イスラエルのユダヤ人は彼ら自身、或いは彼らの祖先が味わった理不尽で非道な虐殺の経験から、自分達を守る為なら他者に非道な暴力を振う事をいとわない。アメリカの白人達も同様と言われる。こうした外道な方達は命の尊さを知っていると言えるのだろうか?…って、まぁ他者からの暴力による死と病気等による死を一緒にするのは無茶だろうが、何にせよ命の尊さを知ると言うなら自分だけで無く他者を含めた全ての命を尊く思えなければならないと思う訳である。

 ならばその為には命の尊さなんて大仰な物を知る前に他者を愛し大切にする気持ちを知る事こそ大切ではないかと思うのである。自分の中に愛する人や尊敬する人がいて初めて他者を失う事の悲しさや苦しさを知る事が出来る訳で、それは自分の死の怖さを知る事より遥かに命の尊さを知る事だと思うのである。

 更に言うと死を知る事だけが命の尊さを知る事では無いだろう。子供が生まれた時、それまで存在しなかった新しい命の誕生に喜びを感じる事も命の素晴らしさや尊さを知る事に他ならないはずである。

 命の尊さが分らないとか実感出来ないと言う人に本当に欠けているのは死を身近に感じる事よりむしろ上に述べた様な事では無いだろうか。

 もしそうじゃ無いのに分らないと言う人がいたら、その人は多分死の縁を経験しても命の尊さを知る事は出来ないと思うのだがどうだろうか?

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コメント

遅レスです。来ましたねえ~。すごいのが。
宇宙飛行士の向井千秋さんもさまざまな困難を乗り越えて
宇宙に行ったからといって人生観は変わらない、
とダンナさんの本に書いてありました。
私は交通事故で気を失ったとき(怪我はなし・・・丈夫だ)
支離滅裂なユメを見ましたが、
それこそ臨死体験をした人とか、
全身麻酔で手術した人のほうがオモロイ話は聴けそうですね~。

投稿: fuuuuh | 2006.10.21 00:39

 えっ!?全身麻酔するとそういう体験が出来る事有るんですか?それは是非聞いて見たい物です・・・・・ってか全身麻酔して貰いたかったりして(^ ^;)。


 交通事故に遭われたのですか。大変でしたね。怪我が無くて幸いです・・・・・って、本当に大丈夫だったのですか?

 入院中私を担当してくれてた看護士さんも以前病院へ出勤する途中で交通事故に遭ったそうですが、そんなに痛くも無いし普通に歩けたので「大丈夫です」と言って現場を離れ、そのまま出勤して夜勤をこなしたそうです。

 所がその後何週間も微妙な違和感が続いたので診察を受けた所、

「骨折を何週間も放って置いたから骨が変な風に繋がっちゃってるよ。」

と言われてしまったそうです。病は気から・・・とはちょっと違うかも知れませんが、仕事で気が張り詰めてたせいで痛みを感じる余裕も無かったと言う事でしょうか。私はその看護士さんの責任感と仕事への情熱に心から尊敬の念を抱くと同時に、「この人はアホでは無かろうか?」と言う疑念を心の中で必死に打ち消していました(T▽T)。

なのでfuuuuuhさんも実は大怪我してたんじゃないかとちょっと期待・・・否、心配した次第です(汗)。

 そう言えば最近、臨死体験者の体験談を紹介するビデオを見る機会が有ったのですが・・・・・って、これは次の記事のネタにしましょうか(笑)。何せネタが乏しいもんでスイマセンねぇ(爆)。

投稿: うぃんすろう | 2006.10.21 15:47

また遅レスです。
最近仕事がハード化してしまって・・・

私は原付で車の左折に巻き込まれて
転倒して脳震盪を起こしただけみたいで、
なんと救急車で「出勤」してしまったのです。
まあ、働くのはムリだったので、
それから6日間入院しました。
冬場でモコモコに着込んでいたのと、
フルフェイスヘルメットを着けていたのと、
スピードもまだあまり出てなかったので
倒れたときの無意識の動きから来る
筋肉痛だけでした。(ちゃんと検査したから
大丈夫です。あれからもう13年・・・)
そのえらい人と違って、働かなかったですが
しかし、事故現場は自宅からでたばかりで、
もっと近い救急病院があったにもかかわらず
車で20分以上もかかる勤め先を
無意識に指定したそうです。
(救急隊員より)怪我がなかったから
良かったようなものの、もしあれば
脳外科とか、交通事故に対応できる外科とか
ERとかないところだったので
大変なことになるところでした。
次ネタ楽しみにしてます。

投稿: fuuuuuh | 2006.10.29 23:57

 怪我が無かったとは言っても全く無事だった訳じゃないんですね。一歩間違えたら大怪我するシチュエーションですし、大事に至らなかったのは本当に幸運でしたね。良かったです。

 実は私も昔交通事故に遭った事が有りまして。歩いてたら後ろからバイクに突っ込まれて気を失ったのですが、気が付いたら別に痛くもなんとも無くてそのまま帰ろうとしたんですね。そしたら体の自由が利かずその場にへたり込んでしまい、変だなーと思ってた所に救急車が来て病院へ行ったら、骨折はしていなかったものの酷い打撲傷で足が赤黒くなっちゃってまして、結局一月程松葉杖を突いて歩く事になりました。痛みの感じ方って本人の認識の仕方で随分違うんですよね。不思議です。なのでお互い怪我には気を付けましょうね(なんか強引な結論(^^;))。

投稿: うぃんすろう | 2006.11.02 02:04

怪我、嫌ですね・・・
私も11年ほど前の交通事故の後遺症が最近
だんだん大きくなってきているような気がします。
怪我とは上手に付き合っていかなければならない様です。
全身麻酔の際の臨死体験は私の場合はありませんでした。ただ、麻酔のガスが鼻に入ってきた瞬間、
白目をむいて意識が遠ざかっていったことは覚えています。

麻酔をされる前に手術台の上に乗せられて患部の
左腕を方の高さまで上げられたときに私の頭の中には「止めろー、ショッカー!」と言う台詞が浮かんでおりまして思わず言いそうになって止めた記憶があります。何で、そんな事を考えていたのか・・・
謎ですね。
※仮に言ってしまっていたら即麻酔を打たれて
見事改良人間になっていたことでしょう。(笑)

投稿: 若旦那 | 2006.11.05 22:15

 交通事故で全身麻酔っつーたらあーた、2度も臨死体験するチャンスが有ったって事ですな。どちらもふいにするとは勿体無い(?)。

 本郷猛はショッカーによって改造人間にされた事を嘆き悲しんでますが、私から見るとむしろ羨ましかったりします。だって仮面ライダーってメンテナンス・フリーじゃーん(T▽T)。同じ改造人間でもしょっちゅう病院で検査受けたり薬を色々飲んでないと生きて行けない私から見たら憧れです!!

投稿: うぃんすろう | 2006.11.07 00:26

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